令和のヤバイ新入社員列伝

筆者が見聞きしたヤバイ社員について紹介します。

表面的な若者たち

先日、私が社会人になった年のヴィンテージワインを頂いた。

ここしばらく、白ワインがマイブームになっていたのだが、やられた。抜染後、すぐに部屋に広がる赤い果実の香り、それでいて口に含んだ時の重厚なのにタンニンを邪魔だと思わない味わいに「これが熟成のなせる業か」と思わずうなった。

10年以上の月日を耐えるということは、人間であってもそんな簡単にできることではない。新人の半数以上が3年以内に職を変えるそうだ。石の上にも三年、、、三年経ったらやめていいよって話ではないんだけどな。

 

人もワインも同じだと思う。

 

実は長期熟成できるワインは、瓶詰直後から「うまい!」と感じるワインばかりではない。5年、10年という月日を待ってから飲むことで、その本来のポテンシャルを引き出せる。若いうちに飲むと、タンニンが強すぎておいしいと感じないものもある。

 

逆に、若いころからがぶがぶ飲めるワインというのは、大変作り手さんに失礼であるが、薄っぺらいところがある。なんというか表面的なおいしさだ。コカコーラ的なおいしさだ。決してそれを悪く言っているつもりはない。

 

最近の若い子を見ると、どうしてもそのようながぶがぶ飲めるワインと似ていると感じてしまう。なんというか、生き焦っている。なんというか、すぐに何者かになろうとしている。総じて表面的だ。しかし、がぶがぶ飲めるワインは人を幸せにできる。表面的な若者は自分自身も幸せにはできないだろう。

 

少し前に新卒が辞めた。

その子は、大学を中退していく当てがないので雇ってくれと頭を下げてきた子だった。

入社したいというときも、退社するときも一緒だったが、表面的な言葉を使う子だった。どこかの自己啓発本にでも書いてありそうなことを言う子だった。入社するときに「表面的な言葉を使わないで、自分の言葉がつかえるように頑張ってね」と言葉を送った。そして、退社時にもまさか同じ言葉を送ることになるとは思わなかった。

 

退社後に、会社の人間から聞いたのだが、辞めた理由は「遅刻を注意されたのが気に入らなかった」かららしい。毎回、出社ギリギリ、もしくはちょっと遅れてくるので社長が「新人はまず社内からの信頼を勝ち得ないといけないよ。そんな息を切らせながらギリギリで出社する人を誰が信頼する?」と諭した。何度言っても治らなかったので、何度も説明したらしいが、それが嫌だったそうだ。

 

それならそうだと言ってくれたらいいのに。

新天地ではどうか注意を素直に聞いて、10年後、誰かを幸せにできる人になってほしいものだ。